冷たい月 ー双子の幼なじみと消えない夜の傷あとー
「……もしかして、架月?」

志月が笑ったままうなずく。
正直言ってすっごく意外。

「でも志月って勉強は一番だし、スポーツだって得意だし、女子にも人気があるのに」
「ほめすぎ」
志月が笑う。
「だけど架月が本気でやったら、勉強もスポーツもすぐに一番になるんじゃないかな」
「そうかなぁ」

「そうだよ。それに、陽波に人気があったのは架月だし」
そう言った志月にまた見つめられて、言葉を失う。

「俺は陽波が思ってるより、ずっと前から陽波のことが好きだったんだよ。だからずっと架月に嫉妬してた」
「え、えっと……」
志月がまた笑う。
「でも今は、俺の彼女だから」
ずっとこっちを見てる志月に照れくさくなって、無言でコクコクとうなずいた。
多分、顔真っ赤。

全然知らなかった。志月が架月に嫉妬することがあるなんて。

——『ずっと前から陽波のことが好きだったんだよ』

全然、気づかなかった。
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