冷たい月 ー双子の幼なじみと消えない夜の傷あとー
「架月……出席日数大丈夫かな?」

家への短い帰り道、幼なじみを心配して質問する。
私の家と二人のマンションは徒歩五分と離れていない。

「出席日数はまだ大丈夫。あんなだけどテストも受ければそこそこ点数取れてるし、心配しなくて大丈夫だよ」
「さすが、志月と双子なだけあるね。なんかムカつくけど」
志月の言葉にホッとして、思わず「ふぅ」と息を漏らす。

「陽波って、今でも架月のことが好き?」

「……え」
志月の突然の質問に、首を横に振る。
「そんなんじゃないよ。幼なじみだから心配なだけ」
「そっか、良かった」
「え?」
思わず志月の顔を見上げる。

「俺、陽波のこと好きだから」

「え!?」
「そんな驚く? わかりやすかったと思うけど」
「だ、だってそんな、志月って学校のみんなの憧れの人じゃない。私なんて……」
「みんなの憧れなんかじゃないけど、俺にとっては陽波が一番かわいいよ」

志月はいつも通りの穏やかな声と目で微笑みかけてくる。
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