冷たい月 ー双子の幼なじみと消えない夜の傷あとー
翌日の十八時。

『行けない』って言うために、架月に電話した。
『どうして今夜なの? 明日だって見れるでしょ?』
『……』
『と、とにかく行けないから』

『待ってるから、いつまででも。ヒナのこと、待ってるから』

どうして? 聞いても答えてくれない疑問がずっと頭から消えなかった。
私は志月と先に約束したんだから、堂々とそっちに行けばいいって思った。
だけどモヤモヤした気持ちが消えないまま、二十時になって、二十二時になって……
また電話をかけた。

『まだ帰ってないって、志月に聞いた。もう二十三時だよ!?』
『志月に……』
電話口で、架月が小さくつぶやいた。
『明日一緒に見よ?』
『まだ待つよ。来てよ、ヒナ』
聞いてくれない架月にイラ立ちをおぼえる。

『行かないって言ってるでしょ! 架月なんて、もう知らない』

電話を切って、ベッドに入って頭から布団をかぶった。
だけどずっとモヤモヤして眠れなかった。


あの夜のことは、ずっとずっと後悔してる。

眠れないくらいなら河川敷に行けば良かった。

流れ星なんて見なくたって『一緒に帰ろ』って、迎えに行けば良かった。
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