冷たい月 ー双子の幼なじみと消えない夜の傷あとー
ep8 条件
「あの夜……弱くて子どもで、架月のところに行けなかった自分を今でも毎晩後悔してる」
顔を覆って泣きながら言う。
「架月の孤独に気づいてあげられなかったこと……そういう架月から、逃げたこと……」
涙が次から次へ流れてくる。
「行けなかった? あの夜志月を、自分が楽しい方を選んだだけだろ?」
架月の声は、冷たい。
「選んでないよ……」
「……」
「……行ってない、志月の方にも。架月だけ一人にするなんてできるわけない」
架月が言ってたみたいに、誰にでも良い顔してるのかもしれない。
だけど、架月以外を選ぶなんてこともできなかった。
「……嫌われるだけのことをしたって、わかってる。だけど、あの時から本当にずっと後悔してる」
架月が誰かといるのを見るたびに思っていたこと。
「もう、架月の〝特別〟には戻れないんだって」
「え……?」
「このベッドで架月がいつも女の子に触れてるのだって、屋上で誰かとキスしてるのだって、苦しくて苦しくてたまらなかった。〝そこは私の場所なのに〟って……する資格もない嫉妬を、ずっとしてる」
架月を傷つけておきながら、自分勝手で醜い感情。
顔を覆って泣きながら言う。
「架月の孤独に気づいてあげられなかったこと……そういう架月から、逃げたこと……」
涙が次から次へ流れてくる。
「行けなかった? あの夜志月を、自分が楽しい方を選んだだけだろ?」
架月の声は、冷たい。
「選んでないよ……」
「……」
「……行ってない、志月の方にも。架月だけ一人にするなんてできるわけない」
架月が言ってたみたいに、誰にでも良い顔してるのかもしれない。
だけど、架月以外を選ぶなんてこともできなかった。
「……嫌われるだけのことをしたって、わかってる。だけど、あの時から本当にずっと後悔してる」
架月が誰かといるのを見るたびに思っていたこと。
「もう、架月の〝特別〟には戻れないんだって」
「え……?」
「このベッドで架月がいつも女の子に触れてるのだって、屋上で誰かとキスしてるのだって、苦しくて苦しくてたまらなかった。〝そこは私の場所なのに〟って……する資格もない嫉妬を、ずっとしてる」
架月を傷つけておきながら、自分勝手で醜い感情。