冷たい月 ー双子の幼なじみと消えない夜の傷あとー
「ごめん。とりあえず座ってくんない?」
ベンチに座ったパーカー姿の架月が、自分の隣の席をポンと叩く。

「すぐ帰るから。コンビニに行くって言ってきちゃったし」
「そっか」
架月は小さくため息をついた。
それから立ち上がって、頭を下げた。

「え……」

「陽波……今までごめん」

まさか架月に謝られるなんて思わなかった。

「ひどいこと言って、ひどいことして……傷つけて、ごめん」
架月の言葉に、何度も首を横に振る。

「傷つけたのは私だもん……謝らないで」

「違うよ。俺がガキで弱かったから、陽波を追いつめて、陽波を傷つけた」

「違う……違うよ……」

何をどう言葉にしたらいいのかわからなくて、ノドの奥が熱くなって涙がこぼれる。
こんな表情の架月が目の前にいるなんて、信じられない。

そんな風に思っていたら、架月に腕を引っ張られて抱き寄せられた。
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