冷たい月 ー双子の幼なじみと消えない夜の傷あとー
教室では、私があげたノートを見ている架月の姿が信じられなくて、ついつい隣の席に目がいってしまう。

「あんまり見るなよ。集中できねえ」

変わったはずの架月は口の悪さはそのまま。

「……だって、あの頃の架月が戻ってきたみたいなんだもん」
気にしないなんて無理。

「戻ってない」
架月はノートに目をやりながらつぶやく。

「俺の隣にヒナがいないんだから、あの頃とは全然違う」

「……」
答えに困る。

「絶対取り返すから」

あの頃よりも低くなった声でそんなことを言われたら、ついドキッとしてしまう。
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