冷たい月 ー双子の幼なじみと消えない夜の傷あとー
志月が〝再会〟って言った通り、私と志月……それから架月には会っていない時期があった。
私たちが中学一年の秋、二人の両親が離婚した。
そして、志月はお母さんに、架月はお父さんに引き取られた。
志月はお母さんと隣の市に引っ越してしまったから会えなくなった。
架月は今と同じ家に住んでいたけど……しばらくしたら全然会わなくなった。

だけど志月がうちの高校に通いたいからって、またこの街に戻ってきた。
二人のお父さんは会社をいくつも経営している社長でお金持ち。
忙しい分、子どものことまで手が回らないみたいで放任主義。
志月と架月は離婚前にお母さんと暮らしていたマンションで、今は二人だけで暮らしてる。
『いいじゃん、昔みたいに気軽に遊びにくれば』
志月がそう言ってくれたから、二年ぶりに二人の家に行った。
だけど架月はあんな調子で、もう昔とは違うんだって思い知った。

——『陽波って、今でも架月のことが好き?』

志月の言葉を思い出して、誰もいないのに思わず首を横に振ってしまった。

——『変わんねーよ、女なんて誰だって』

もう、あの頃の架月はいないから……。
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