冷たい月 ー双子の幼なじみと消えない夜の傷あとー
ep2 鍵
次の日。
「おはよう、陽波」
学校の廊下で志月がいつも通りのあいさつ。
「お、おはよ」
昨日のことを思い出して動揺する私を見て、志月は「ははっ」っておかしそうに笑う。
「意識しすぎ」
「だって……」
志月が私の頭の上に手をポンと乗せる。
「そういう陽波もかわいいけど、普通にして。放課後もいつもみたいにうちに来て欲しいし。じゃ、授業がんばって」
そう言って、彼は自分の教室に入っていった。
ひとの心臓の音なんて全然気にしてないって感じの余裕ぶり。
「陽波、おはっ」
教室の後ろ側にあるロッカーから教科書を取り出そうとしていると、背後から明るく声をかけられる。
「おはよ、星良」
ゆるくパーマのかかったセミロングの髪をおろしている彼女は三崎星良。
一年のときから同じクラスの親友。
「さっき見たよー」
「何を?」
「王子に頭ポンポンされて、真っ赤になってる陽波チャン」
志月は本当にみんなの憧れで、品の良い感じだから〝王子〟なんて呼ばれてる。
「おはよう、陽波」
学校の廊下で志月がいつも通りのあいさつ。
「お、おはよ」
昨日のことを思い出して動揺する私を見て、志月は「ははっ」っておかしそうに笑う。
「意識しすぎ」
「だって……」
志月が私の頭の上に手をポンと乗せる。
「そういう陽波もかわいいけど、普通にして。放課後もいつもみたいにうちに来て欲しいし。じゃ、授業がんばって」
そう言って、彼は自分の教室に入っていった。
ひとの心臓の音なんて全然気にしてないって感じの余裕ぶり。
「陽波、おはっ」
教室の後ろ側にあるロッカーから教科書を取り出そうとしていると、背後から明るく声をかけられる。
「おはよ、星良」
ゆるくパーマのかかったセミロングの髪をおろしている彼女は三崎星良。
一年のときから同じクラスの親友。
「さっき見たよー」
「何を?」
「王子に頭ポンポンされて、真っ赤になってる陽波チャン」
志月は本当にみんなの憧れで、品の良い感じだから〝王子〟なんて呼ばれてる。