エリート御曹司は不運な前向き社員を甘くとらえて離さない
てっきりそのまま外出すると思っていたのに、博明は愛美の方を向いたまま動かない。
「あの……?」
「お弁当、開けないんですか? 見てみたいです」
「えぇー……」
正直、誰かに見せられるようなお弁当ではない。けれど見るまで動かないというような顔をした博明に根負けして、愛美は花柄の包みに手をかけた。
昨晩の残りの煮物、卵焼き、それにミニトマトが入っただけのつまらない内容だ。
ギチギチに詰まったそれは、お世辞にも見た目がいいとは言えない。
「ふふっ、美味しそうですね」
「……からかってますか?」
「まさか。時間外手当をお出しするので、僕にも作ってきてほしいくらいです」
博明は煮物を指さしながら「こういうの好きなんです」と楽しそうに笑っている。
「ご冗談を」
「僕は本気です。明日からお願いしても?」
急に真剣な目でこちらを見つめるから、愛美は思わず頷いた。
「あの……?」
「お弁当、開けないんですか? 見てみたいです」
「えぇー……」
正直、誰かに見せられるようなお弁当ではない。けれど見るまで動かないというような顔をした博明に根負けして、愛美は花柄の包みに手をかけた。
昨晩の残りの煮物、卵焼き、それにミニトマトが入っただけのつまらない内容だ。
ギチギチに詰まったそれは、お世辞にも見た目がいいとは言えない。
「ふふっ、美味しそうですね」
「……からかってますか?」
「まさか。時間外手当をお出しするので、僕にも作ってきてほしいくらいです」
博明は煮物を指さしながら「こういうの好きなんです」と楽しそうに笑っている。
「ご冗談を」
「僕は本気です。明日からお願いしても?」
急に真剣な目でこちらを見つめるから、愛美は思わず頷いた。