エリート御曹司は不運な前向き社員を甘くとらえて離さない
体調が復活し、出社しようとした朝のことだった。一通のメールが愛美のもとに届いた。
「嘘……」
派遣会社からの『契約終了のお知らせ』というメールだった。
「今月いっぱいで無職……今の仕事、気に入ってたのに……」
今の派遣先、サエキ製菓は日本を代表するお菓子メーカーだ。銘菓からお手軽な駄菓子まで幅広く販売しており、知らない人はいない大企業だ。そこの営業事務として働くことに、愛美はやりがいを感じていた。
健吾と出会ったのも、サエキ製菓だった。
営業部一課に配属され、最初にペアを組まされたのが健吾だった。営業の健吾をサポートすることですぐに距離が縮まり、入社三ヶ月目に付き合い始めたのだ。
何でもはっきりと物を言う健吾は、頼もしくて魅力的だった。秘密の社内恋愛だったけれど、お互いに仕事とプライベートは分けて、うまくこなしていた。はずだったのに――
「仕事も恋人も一気に失っちゃった」
不運なことは重なるものだ。
それでも仕事を失うというのは、失恋よりもショックだった。
(健吾とどんな顔して仕事をしていいか分からないし、丁度いいタイミングだったのよ)
愛美はなんとか自分に言い聞かせ、無理矢理口角を上げた。
失恋も失業も自分の力ではどうしようもない。
受け入れて次に進むしかないのだ。
「そうだ! 久しぶりにアレを食べてから行こうかな」
「嘘……」
派遣会社からの『契約終了のお知らせ』というメールだった。
「今月いっぱいで無職……今の仕事、気に入ってたのに……」
今の派遣先、サエキ製菓は日本を代表するお菓子メーカーだ。銘菓からお手軽な駄菓子まで幅広く販売しており、知らない人はいない大企業だ。そこの営業事務として働くことに、愛美はやりがいを感じていた。
健吾と出会ったのも、サエキ製菓だった。
営業部一課に配属され、最初にペアを組まされたのが健吾だった。営業の健吾をサポートすることですぐに距離が縮まり、入社三ヶ月目に付き合い始めたのだ。
何でもはっきりと物を言う健吾は、頼もしくて魅力的だった。秘密の社内恋愛だったけれど、お互いに仕事とプライベートは分けて、うまくこなしていた。はずだったのに――
「仕事も恋人も一気に失っちゃった」
不運なことは重なるものだ。
それでも仕事を失うというのは、失恋よりもショックだった。
(健吾とどんな顔して仕事をしていいか分からないし、丁度いいタイミングだったのよ)
愛美はなんとか自分に言い聞かせ、無理矢理口角を上げた。
失恋も失業も自分の力ではどうしようもない。
受け入れて次に進むしかないのだ。
「そうだ! 久しぶりにアレを食べてから行こうかな」