エリート御曹司は不運な前向き社員を甘くとらえて離さない
「仕事でもプライベートでも、弱さを飲み込んで踏ん張っている姿に惚れてしまいました」
「分かりました! もう十分ですからっ……」

 博明の優しい言葉を浴びすぎて、愛美は恥ずかしくて思わずストップをかけた。

 博明は愛美の頭を撫でると、柔らかく微笑んだ。

「ずっと我慢していたんですよ。……キスしても構いませんか?」
「は、い……」

 博明の両手に顔を包まれる。
 近づいてくる博明がスローモーションに見えた。

「ん……」

 そっと触れた唇からは、博明の熱が伝わってくる。
 互いの熱が混ざり合った頃、ようやく唇が離された。

「……っはぁ……」

 止めていた息を深く吸っている間に、ソファーにそっと横たえられる。

 博明の指が愛美の髪をゆったり梳かしていく。
 愛美を見つめる瞳は、熱を帯びていた。

「あ、あの……博明さ」
「あぁ、そんな表情で煽らないでください。止められなくなりそう」

(私はどんな顔をしてるのっ……!?)

「……っ」

 答えられずにいると、触れるだけではない深い口づけが降ってきた。


 触れ合う部分が熱くて、優しくて……このまま溶け合ってしまいそうだった。



 すっかり身体の力が抜けた愛美の頬を、博明の大きな手がするりと撫でる。

「もう離しません。後悔しても遅いですからね」

 真剣な眼差しが愛美にそそがれる。
 愛美は博明の手に自分の手を重ねた。

「こんな幸せを手放したりしません。博明さんこそ、後で幻滅しないでくださいよ」


 もう一度交わしたキスは、心が混ざり合うほど甘かった。
 近づくほどに幸せが降り注ぐ。

 まるでメロウクッキーみたいだ、と愛美は内心微笑んだ。



【完】
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