女好きの最低男がなぜか私だけ溺愛してくる
彼女たちの手には小さなお弁当の袋と、バドミントンのラケットが持たれている。
食後に運動をするつもりで来たんだろう。

だけど小泉大樹の顔を見た瞬間、舞の食欲は一瞬にして消え失せていた。
今日も女性社員たちに囲まれてニコニコと嬉しそうにしているその顔に、食欲が削がれてしまう。

「ねぇねぇ大樹、一緒にバドミントンしようよ!」
「俺そういうの苦手なんだけど」

「いいじゃんいいじゃん! 私たちが教えてあげるから!」
女性社員たちの媚びた声がキンキンと鼓膜を刺激する。

すっかり食欲を失った舞はお弁当の蓋を締めて立ち上がった。
もうここでは食べられない。

別のところへ移動しようと立ち上がったときだった。
小泉大樹と一緒に屋上へやってきていたロングヘアーの女性社員が、舞に気が付かずにフラフラとぶつかってきたのだ。
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