女好きの最低男がなぜか私だけ溺愛してくる
見た目がいいからって調子に乗って次々と女性社員を傷つけているこの男を、舞はどうしても許すことができなかった。

舞は大きく息を吸い込むと、落ちてしまったお弁当箱をそのまま放置して立ち上がった。
大きな目で小泉大樹をにらみつけ、その腕を掴んで歩き出す。

「え、ちょっと、なに?」
小泉大樹が困惑した声を上げるけれど返事もせずに大股に歩いて屋上を出る。

後方から女性社員たちのブーイングも聞こえてきたけれど、それも無視した。
そして誰もいない踊り場へとやってきたとき、舞はようやく小泉大樹の手を離した。

「俺に何か用?」
立ち止まった小泉大樹をにらみあげる。

こうして至近距離で見ても非の打ち所のないきれいな顔は、女性でも嫉妬してしまうくらいだ。
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