女好きの最低男がなぜか私だけ溺愛してくる
舞に告白したあの日から、何度交際を断られても必ず会いに来るようになった。

「ちょっと佐藤さん」

そんなある日のこと、長く経営部にいる50代のお局さんが腕組みをして近づいてきた。

その顔は険しくて、なにかよくないことを言われるのだという予感が働いた。

舞は仕事中の手を止めてパソコン画面から視線をはずした。
「なんですか? さっきの書類で間違いでもありましたか?」

そうであれば先手を打って謝って、すぐに開放してもらおう。
そう思っていたのだけれど、舞の予想は外れた。

「そうじゃないわ。最近のあなたちょっと浮ついてるんじゃないの?」

ジロジロと品定めするように舞を見てそういうお局さんに、舞は自分の体を見下ろした。

普段どおり派手すぎない服に、派手すぎない化粧。
< 19 / 75 >

この作品をシェア

pagetop