女好きの最低男がなぜか私だけ溺愛してくる
長い髪の毛もひとつのまとめているし、なにか悪いところでもあっただろうか?
首をかしげているとお局さんがこれみよがしにため息を吐き出した。

「小泉さんとのことよ」
指摘されて舞は目をパチクリさせる。

「あの人と私はなにも関係ありませんけど」
むしろ、相手がしつこく告白してくるのを毎回断っている場面は見ているはずだ。

それでもお局さんは面白くないのか、目を吊り上げている。

「誰と付き合おうと構わないけれど、毎日毎日こっちに来られちゃ仕事の邪魔になるでしょう。会うなら外にしなさい」

って、なんで私がそんなこと言われなきゃならないの!?

と、言い返したいところだったけれど、数人の女性社員たちがこちらを見ていることに気がついて口を閉じた。

ここで喧嘩になれば彼女らからも恨まれるかもしれない。
舞は渋々「すみませんでした」と、謝ることになったのだった。
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