女好きの最低男がなぜか私だけ溺愛してくる
☆☆☆

デートなんて行かない。
普通の彼氏とならともかく、相手はあの小泉大樹だ。

女の子をとっかえひっかえして浩子のことを泣かせた男。
絶対に行くわけがない!

鏡台の椅子に座ってジリジリと過ぎていく時計の針をにらみつける。
今は朝の9時で、小泉大樹との約束時間は10時だった。

すでに化粧を終えているからあとは着替えて外に出るだけ。
約束場所までは歩いて10分ほどだから、十分に間に合う。

「って、デートなんて行かないんだってば! 今日は買い物に行って、ちょっといいお肉を食べるんだから、そのために出かけるだけ!」

舞はぶつぶつと独り言を言いながら鏡台から立ち上がり、クローゼットを開けた。
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