女好きの最低男がなぜか私だけ溺愛してくる
混乱している舞を横目にスタスタと歩き始める小泉大樹。
「ちょっと待って! き、今日はデートとか、そんなんじゃなくてっ!」

しどろもどろに言葉を紡ぎながら舞の頬は真っ赤に染まっていく。
デートとかじゃなくて。

じゃあなんだと言うつもりなのか自分でも考えていなかった。

ただ、目の間にいる小泉大樹が、私服姿の小泉大樹が憎らしいほどかっこよくて悔しくなったのだ。

「うん? なに?」
「な……なんでもないです……」

結局言葉を見つけることができなくてガックリと肩を落とす。
「行きたい場所がないなら、俺の行きたいところでもいいかな?」

「なんでもいい……どうでもいい」
抜け殻状態で小泉大樹の後をついて歩く。
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