女好きの最低男がなぜか私だけ溺愛してくる
運ばれてきたクレープを一口頬張ったとき、カランッと低い鈴の音が聞こえてドアが開いた。
入ってきた3人組の女性に見覚えがあり、舞は咄嗟に視線をそらす。

できれば気が付かれたくないと思ったが、一緒にいる相手が目立ちすぎているのでさすがに無理だった。

必死で顔をそむける舞の近くで「あれ、大樹くん!」と、1人が声をあげる。
連れのふたりもすぐに近づいてきた。

「こんにちは」
ニッコリと微笑む大樹に屋上で会った女性社員3人の黄色い声が響く。

どれだけ顔をそむけていても、この距離で隠し通すのは難しかった。
「一緒にいるのは佐藤さん?」

1人のそう質問されて舞の肩がビクリと跳ねる。
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