女好きの最低男がなぜか私だけ溺愛してくる
ふと脳裏に浮かんできたのは営業部にいる長身で見た目のいい男性社員だった。
年齢はたしか29歳で、25歳の浩子が付き合っていても違和感はない。

だけのこの男にはいつも悪い噂がつきまとっていた。
誰々と付き合っているのに、他の女性社員と歩いているのを見たとか、そんな噂はしょっちゅうだ。

見た目の良さを利用して、女性社員たちをとっかえひっかえしているのは、もう社内のほとんどの人間が知っている。

浩子も、あいつの毒歯にかかったんだ。
「え、いや、その……」

小泉大樹の名前を出した瞬間、浩子の視線が泳いだことを見逃さなかった。
さっきまで流れていた涙も引っ込んで、驚いたように目を丸くしている。

「やっぱりあいつなんだね。浩子にまで手を出すなんて、許せない!!」
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