女好きの最低男がなぜか私だけ溺愛してくる
☆☆☆

アパートへ帰宅した舞は疲れ果ててベッドに思いっきりダイブした。
小泉大樹があれほどしたたかな女たらしだとは思っていなかった。

なにを言っても暖簾に腕押し状態で、話にならない。

あんな男に浩子がひっかかってしまったのだと思うと、やっぱり悔しくて奥歯を噛み締めた。

それから自分の右掌をジッと見つめる。
小泉大樹を叩いた手のひらは今もまだジンジンと傷んでいる。

本気で誰かを叩いたのは人生で初めてのことだった。
「でも私、間違えたことしてないよね?」

自分の友だちのことを名前も覚えていないと言ったのだ。
それは到底許せることではなかった。

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