女好きの最低男がなぜか私だけ溺愛してくる
☆☆☆

最低な気分の誕生日を迎えた翌日、浩子は告白したときと同じ場所へ中村を呼び出した。

「仕事中に呼び出したら困るよ」
中村はしかめっ面をしながらもすぐにキスをしてこようとした。

浩子はそれを片手で止めて、別れを切り出したのだ。

「もう無理よ。私25歳だし、そろそろ普通の恋愛をしなきゃいけないと思うの」

このまま何年もずるずると中村と付き合っていても、きっと自分のためにならない。

別れるなら今しかないと決断した。
だけど中村はそれを許さなかったのだ。
「僕は嫌だ。絶対に別れないからな!」

いつもは温厚な中村が声を荒げてそう言ったときにはさすがに驚いたけれど、それも想定内だった。
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