女好きの最低男がなぜか私だけ溺愛してくる
不倫相手が自分から離れそうになると追いかける。
それは手記でも何度も読んだことのあるものだったから。

でも、その後の展開が大きく違っていた。
「これを見ろ」

中村が取り出したのはスマホだった。
この期に及んで何を見せようとしているんだろうと呆れ半分で画面を確認した。

そのとき、写っていた映像に浩子は愕然としたのだ。
「なんでこんなものを持っているの!?」

それは浩子がホテルでシャワーを浴びているところを隠し撮りしたものだったのだ。
「ははっ。他にも動画だってあるぞ」

「私を脅す気!?」
「別れを撤回するならなにもしない。わかるかい? これは大人の約束事にしよう」

写真を見せて浩子を脅した後、中村はいつも以上に優しくなったのだった。

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