女好きの最低男がなぜか私だけ溺愛してくる

誰よりも早く出社して自分の部署へ向かったとき、ドアの隙間から廊下に明かりが漏れていることに気がついた。

こんなに早く、もう出社してきてる人がいるんだ。
そう思いながらドアを開けたときだった。

椅子に座っている中村と、その膝に乗って濃厚なキスをしている女性社員の姿があって舞は立ち尽くしてしまった。

舞の存在に気がついた女性社員が一瞬挑むような視線を向けてくる。
「や、やぁおはよう」

中村が声を裏返しながら言い、女性社員の体を押しのけた。
もしかしたらこの人、出社前にこういうことばかりしてたの？

浩子の話を聞く前ならもっとショックを受けていたかもしれないけれど、あの話を聞いたあとだったから、最小限で抑えられた。