女好きの最低男がなぜか私だけ溺愛してくる
☆☆☆

その後すぐに女性社員たちから詰め寄られるかたちになった中村を放置して、舞は廊下へ出てきていた。

「ふぅ……」
小泉大樹が疲れ切った表情でため息を吐き出す。

「あなたは、ヒーローだったのね」

舞の言葉に小泉大樹は初めてそこに舞がいたことに気がついたかのようで、目を大きく見開いた。

「ま、舞ちゃん!? 見てたのか?」
「見てたもなにも、ずっとあの部屋にいたんだけど」

そう答えて苦笑いを浮かべる。
彼女たちのために全力を尽くしていたから、舞に気が付かなかったみたいだ。

「そ、そっか。あ、メッセージが入ってる!?」

今更になって舞からのメッセージに気がついて慌て始める小泉大樹に、舞はついに笑いだしてしまった。
< 69 / 75 >

この作品をシェア

pagetop