女好きの最低男がなぜか私だけ溺愛してくる

どこかの誰かと違って休日には家族で過ごす時間を持っているらしくて、部下からの信頼もあった。
「さっき提出してくれた書類だけど、ここ違うんじゃない？」

「あ、すみません！」
大切なところでミスを見落としていたようで、飯島くんがサッと青ざめる。
「ここの数字が違うと大事だから、これからは気をつけて」

「は、はいっ！」
「ははっ。そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。僕がちゃんとチェックするから、安心して」

中村さんに肩を叩かれて飯島くんはホッとした様子で自分の席へ戻っていく。
「さすが中村さん。絶対に怒らないよね」

「部下のミスは自分の責任になっちゃうのに、寛大だよねぇ」
女性社員たちのそんな声が聞こえてくる。

舞はふと、こんな人が浩子の彼氏だったら浩子が泣くようなこともなかったのかなと、思ったのだった。