月とスッポン  牛に引かれて
ピクニックと安曇野とちひろ
 
安曇野へは山を登り下りクネクネと道を進めば1時間程でたどり着く。

朝の空気が気持ちいいと窓全開で車を走らせる。

見るからに可愛い!
しか出てこない小さなパン屋さん。

並ぶ惣菜パン達が、どれも美味しそうに「私を食べて」と言っている。

これは絶対に食べたい。これも捨てがたい。
でも、この大きさを朝食だと考えると2個が限度だろう。

「何にしますか?」

惣菜パンよりはシンプルなパンの方が長持ちするだろうから

「どれも美味しそうですね」

今日は家に帰るから、明日消化すればいける。

「よし、決めた!」
「で、何にしますか?」

じっくり見て悩んで顔を上げると真横に大河がいた。

「そっちこそ。何食べますか?」
「私はこのチーズベーグルとカレーパン。それからシチューパンをお願いします」

おぉ、気になってたヤツだ。
よし、一口貰うとして

「私は普通のベーグルとポテトとお野菜。それからメロンパンとアンパン、クリームパンとこのカンパーニュを会計別でお願いします」

カンパーニュを指差し、ちゃんと会計は別でと主張し注文する。

「たくさんですね」
「大半はは達ちゃん家へのお土産です」

「達哉君のところの?」
「あそこは家族揃ってパン好きなんで」

私達が会話をしている間に、店員さんはすでに会計の準備を進めていた。

「では、私からという事で。会計は一緒にお願いします」

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