月とスッポン  牛に引かれて
なので、ひとまず放置する事にして美味しいおかずを口にする。

タイミングを見計らい、大河が食べているパンと私のパンをシャアし合い、色々な味を堪能する。

1人では食べれない種類を味わえるという事だけは、大河が一緒でありがたい。

こんなに食べれるか!

なんて思っていたが、美味しいのには泡のようにすぐに消えていく。
きっと空気で出来ているに違いない。

「お腹がいっぱいです」
と大河が食べてすぐに横になる。

いつもしっかりしている大河にしては珍しいと横目に、頂いた物を片付ける。

すぐに片付けないと落ち着かないのは、職業病に違いない。

一通り籠に戻ると大河に腕を引かれて、わたしも大河の横に寝そべる形になった。

「こうやって空を見ると時が止まったかのように気持ちよくないですか?」

そう言われたので、雲一つない空を見上げる。
動くものが何もない空は本当に時間が止まったかのようで

「なんだか、絶望しますね」
「絶望ですか?」

きっと返ってくる答えが思っていたのと違ったのだろう。
流れてきた雲を見ながら呟く。
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