月とスッポン  牛に引かれて
「こう言った世界中で翻訳された作品を色々な国の言葉で読むと勉強になったので、よく読んでいたんですよ」

知っている絵本を他の言語で読んでも内容はわかるでしょと言った。

「勉強?」

上流階級は幼くして勉強するという概念があるのか!
驚いていれば

「いえ、8歳ぐらいの時なので、完全なる趣味ですね」

思っていたのと違う。

他言語の習得に、大河も努力をしたという話じゃないのかよ!
ってか、小3で語学勉強が趣味って。
その頃私は何をしていたか?

思い出すだけで、ゾッとする。

身震いをする。

不思議そうに私を見る大河。

「寒くなってきただけです」と誤魔化すが、
少し困った顔をしながら「では、そろそろ次へと向かいますか?」と出口に向かって歩き出した。

なぜ、大河が困った顔をしたのか?

普通小3ぐらいだと無邪気に遊んでいた年代だろう。
普通とかけ離れた世界に、戸惑ったのか?

まぁ、どちらにしても普通の小3の世界はわからないので、聞かなかった事に見なかった事にしよう。

うん、それが一番。
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