月とスッポン  牛に引かれて
なんてくだらないやり取りをしているうちに、本宮の楼門にたどり着く。

掲額の鳩を眺める前に挨拶を済ませる。

人混みに流されて本宮の外に出れば、すでに挨拶を済ませた海たちが仲良く授与所を見ていた。

あれを私は海とする予定だったのに。

羨ましい気持ちと仲が良いことは良い事だとという気持ちが交差する。

階段の上から、鎌倉の街並みを眺める。

あの2人の様に、源頼朝と政子も仲良くこの景色を見たのだろうか?
誰かと寄り添ってみる景色は、1人で見る景色となんらかの違いはあるのだろうか?

後ろを振り返り、額に飾られた“八幡宮”に描かれた鳩を見上げた。

「確かに、善光寺の鳩と比べると驚くほどわかりやすい鳩ですね」
「世界的に見て鳩は平和の象徴ですけど。八幡宮では応神天皇が国内を平定する際、道案内したのが鳩だったとのことから、鳩は“八幡様のお使い”だとされているそうですよ」

鳩の説明をしようとする大河の台詞を奪ってみる。

「ちなみに八幡宮の総本山は大分県の宇佐神宮で創建は725年です。そんでもって大分と言えば別府の地獄の湯。噴気・熱泥・熱湯などが噴出していたことから千年以上昔から血の池地獄って言われてたそうで、日本最古なんですよ」
「最古、実際に見たいですね」
「最古、見たいですね」

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