月とスッポン  牛に引かれて
憧れの具現

side しがない部下


本部長、改めて常務からのお願いと言う命令を受け、サロンまで女性を迎えに出向きました。
サロンの女性ににこやかに促されながら扉から出てきた女性は顔立ちはとても若いのだが、落ち着いたドレス姿が実年齢よりも上に見受けられます。
きっと20代前半といった所でしょうか?

女性ならここまでドレスアップしたのなら、笑みが隠しきれない嬉しそうな顔をするモノだと思っていましたが、女性は着飾った格好で終始不満げな顔を浮かべていらっしゃいます。

常務からお預かりした鞄を見つけると女性はすぐに車に乗り込まれました。常務の指示通り、ドアを閉めロックをしてすぐに出発致します。

「マジでない」

スマホをいじりながら悪態をつく女性。常務のお連れ様なので、悪くは言いたくはありませんが、なんとも口の悪い女性です。

「マジでないんだけど」

どこかに繋がったスマホに向かい叫んでおります。
私は気配を消しましょう。

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