月とスッポン  牛に引かれて
「ちょっとどう言うことか説明して。
仕事終わって出た瞬間に大河に車に乗せられて、なんかすごい所に連れてかれて、全身マッサージされて、頭いじられて、服着せられて、化粧まで施されて、今また車に乗せられてるんだけど!何がどうなってるの!めっちゃ怖いんだけど」

常務を呼び捨てにする女性。何者でしょうか?

ただ今の彼女の状況は、確かに悪態をついても良い状況のような気がしてきました。

「確かにマッサージめっちゃ気持ちよくって、日々の疲れが吹っ飛んだけどさ。お姉さん方、何を聞いても微笑むだけで何も言ってくれないんだよ」

この混乱の中でも、疲れが取れたのならよかったです。

「着せられた服もめっちゃ好みだけど、サイズピッタリで怖いんだけど」

それは確かに怖いでしょう。

「しかも服も靴もアクセサリーも身につけてるモノ全部が高そうで、今すぐ脱ぎたい!ってか今すぐ家に帰りたい!」

どこぞのお嬢様ではなさそうですね。
その気持ち、少しわかる気が致します。
ですが、私は一社員として上司のお願いを聞いた部下なので、任務を遂行するだけです。
の、で私を恨まないで下さい。

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