幼馴染から助けてくれた常連さんに囲い込まれました。
美夜は訳が分からず、思わず鋭い声が漏れる。そんな美夜の様子が見えてないのか嬉しそうな両親は互いに顔を見合う。
「俺も社長から聞かされた時は驚いたよ。まさか美夜と和樹くんが」
「私もよ、美夜。あなた和樹くんと付き合ってるならちゃんと言いなさい。あなた達2人だけの問題じゃないのよ」
「…私、和樹くんと付き合ってないし婚約の話も初耳なんだけど」
「え?でも和樹くんは美夜とは相思相愛だと」
とんでもない嘘に美夜のこめかみが引くついた。相思相愛どころか美夜は彼のことが正直苦手である。しかし、ここで母が恐ろしいことを言い出した。
「美夜ったらまたそんなこと言って。昔から和樹くん相手だと恥ずかしがって素直になれないんだから」
母が呆れた眼差しを自分に向けた時、美夜の心が急速に冷めていく。母は昔から美夜が和樹に酷いことを言われたと泣きついても「和樹くんは素直になれないだけ」「大袈裟に騒ぎすぎ」「和樹くんがそんなこと言うわけないでしょ」とまともに取り合ってくれなかった。和樹の外面は完璧で実の両親ですら気づいてないのだから、美夜の両親が信じてしまうのも仕方ない。いや、両親は和樹と美夜の仲が良い、と思い込みたいのだ。
両親は勤め先の社長の息子である和樹と美夜の関係が、そのまま自分達の将来に直結すると思っている。実際常々和樹と仲良くと言い聞かされて育ったから、両親のためと苦手な相手でも我慢して友人付き合いしてきた。が、結婚はとてもじゃないが受け入れられない。美夜のやることなすこと全てが気に入らない彼と結婚したら、四六時中嫌味を聞かされ続ける。想像しただけで息が詰まるし心身共に削られ疲弊する未来が見えた。
「私は和樹くんと…婚約したくない」
「俺も社長から聞かされた時は驚いたよ。まさか美夜と和樹くんが」
「私もよ、美夜。あなた和樹くんと付き合ってるならちゃんと言いなさい。あなた達2人だけの問題じゃないのよ」
「…私、和樹くんと付き合ってないし婚約の話も初耳なんだけど」
「え?でも和樹くんは美夜とは相思相愛だと」
とんでもない嘘に美夜のこめかみが引くついた。相思相愛どころか美夜は彼のことが正直苦手である。しかし、ここで母が恐ろしいことを言い出した。
「美夜ったらまたそんなこと言って。昔から和樹くん相手だと恥ずかしがって素直になれないんだから」
母が呆れた眼差しを自分に向けた時、美夜の心が急速に冷めていく。母は昔から美夜が和樹に酷いことを言われたと泣きついても「和樹くんは素直になれないだけ」「大袈裟に騒ぎすぎ」「和樹くんがそんなこと言うわけないでしょ」とまともに取り合ってくれなかった。和樹の外面は完璧で実の両親ですら気づいてないのだから、美夜の両親が信じてしまうのも仕方ない。いや、両親は和樹と美夜の仲が良い、と思い込みたいのだ。
両親は勤め先の社長の息子である和樹と美夜の関係が、そのまま自分達の将来に直結すると思っている。実際常々和樹と仲良くと言い聞かされて育ったから、両親のためと苦手な相手でも我慢して友人付き合いしてきた。が、結婚はとてもじゃないが受け入れられない。美夜のやることなすこと全てが気に入らない彼と結婚したら、四六時中嫌味を聞かされ続ける。想像しただけで息が詰まるし心身共に削られ疲弊する未来が見えた。
「私は和樹くんと…婚約したくない」