幼馴染から助けてくれた常連さんに囲い込まれました。
連れて行かれたのは近くの公園。時間が時間なので誰も居ないようだ。カイは美夜をベンチに座らせるとその隣に自分も腰を下ろす。距離が近い、と美夜はこんな状況にも関わらず胸が高鳴っていた。

カイは美夜が泣き止むまで何も言わずにただ隣にいてくれた。差し出されたハンカチで涙を拭うとマスカラやらアイシャドウが付いている。

「あ…ごめんなさい。洗って返します」

「良いよ、あげる」

「そんな、いただけません…」

当然美夜は固辞した。結局カイが折れて「会った時返してくれればいい」と。ホッとしてハンカチを握り締める。

「で?泣くくらい嫌なことがあったんだろう」

カイは表情こそ変わらないが、目が「話せ」と促している。美夜もここまで醜態を晒しておいて、何もなかったで通せるとは思ってない。成り行きでこんな話を聞かされるカイに申し訳ないと感じつつ、美夜は和樹のこと、両親のこと、和樹との婚約話が持ち上がり断った場合父に何をされるか分からないから受けるつもりだと、包み隠さず話した。

< 14 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop