幼馴染から助けてくれた常連さんに囲い込まれました。
「…何で俺なんだ?」
「前も言いましたけど、カイさん大人だし格好いいので私の中では『あり』なんですよ。カイさんみたいな人といつか…って憧れてたんです」
追い詰められた時に無意識にカイがいるかもしれない場所に向かうくらいには、彼のことが好きだった。そんなことは絶対に言えない。カイからしたら迷惑だろうから。既に多大な迷惑をかけているけれど。
優しい彼は哀れな美夜の願いを汲んでくれるのか、それとも真面目な性格から突っぱねるのか。
「…良いよ」
「…え?」
「君の初めて、俺がもらう」
いつも通りのクールな表情のまま告げたカイは呆然とする美夜の手を取ると、ベンチから立たせた。
「スマホは持ってる?ご両親には友達の家に泊まるとでも伝えておいた方が良い」
「え、あ、何故…」
「ん?このままうちに連れて行く。今夜は帰すつもりないから」
「……っっっっ!」
発言の意味を理解して顔を真っ赤にした美夜にカイはクスリ、と笑いかけると。
「顔真っ赤にして、可愛いな」
徐に空いてる左手で頬に触れた。その瞬間、美夜の脳は許容範囲を超えてショート寸前に陥り流されるがままの状態になっていた。