幼馴染から助けてくれた常連さんに囲い込まれました。

「はい、良い雰囲気になっても向こうから振られてしまって中々良い結果にならないんですよ」

そして美夜は勢いで、軽い口調で、笑い話のつもりで現状を話した。笑いながら言えば、重く受け止められ雰囲気を悪くすることもない、と。優しさの塊のオーナーは「え、桜井さんが振られるの?見る目ないね相手」と美夜を持ち上げてくれるのを忘れない。

「ありがとうございます」

「桜井さんは彼氏欲しいの?」

「欲しいというか、恋愛してみたいんですよね。恋人出来て幸せそうな友達見ると余計そう思うというか」

世間話のつもりで、少しだけ本心を吐露してみる。そしてちょっとばかり気持ちが高揚していた時。

「あ、そうだ桜井さん、カイはどう?コイツここ何年も彼女いないし、一応誠実で優良物件。それも顔も良い」

「「は?」」

美夜とカイの声が重なった。時間が時間なので店内に客はほぼいない。そのおかげか注目されることはなかった。

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