転生したら出オチで事件を解決した話
ロキシウスと改めて恋人(!)になった日から、一年が経った。
この一年でバシッド商会に国の捜査が入り、そこで例の薬は見つかった。
その他にも色々やらかしていたらしい。結果、バシッド商会は商会そのものが無くなった。
これについては原作と違う。原作では商会長の交代という結末だった。原作よりもかなり早い時期に捜査されたせいで、隠蔽工作をする時間がなかったのかもしれない。どれだけの悪事に手を染めていたのやら。
ガルシア・バシッドについては過酷な環境での無期懲役となった。流刑が決まったときには自ら一日も早くそこへ行くことを希望したというから、どんな尋問に遭っていたのか考えるだけで震える。ロキシウスの闇落ちは回避できたのではなかったの?
まあガルシアを恨んでいそうな人は彼の他にもいそうなので、ロキシウスのせいではないかもしれない。……そう思いたい。
ちなみにガルシアの流刑先は、断崖絶壁の孤島だという。それなら私もヒロインも一生出会うことはないだろう。
「ああ、そうだ。マローネ、例の少女だけど地元の男性と結婚するらしい」
「えっ」
丁度ヒロインのことが頭をかすめたところに彼女の現況を聞かされ、私は並んでソファに座るロキシウスを見上げた。
彼は彼で「結婚」の単語から連想したらしい。私とロキシウスは今、カイデン侯爵家にて結婚式で着る衣装の打ち合わせをしていた。
「学園に編入してこなかったと思ったら、そんなことに?」
「バシッド商会が無くなったことで、彼女の家の家業が好調という話だ。相手の男性は、昔から親交のある家の次男と聞いた」
「ああ……なるほど」
「昔から親交のある家の次男」という情報に、すぐにとある人物が思い浮かぶ。原作ではサブヒーローの立ち位置だったキャラだ。彼ならヒロインを幸せにしてくれるだろう。
知らないうちに気がかりになっていたのか、ホッとした自分に気づく。そしてそれがわかってて調べただろうロキシウスが格好良くて、私は彼の肩に頭を凭せかけた。
「時期的に、俺たちの新婚旅行中に偶然結婚式に居合わせたから参列するというのはどうだろう?」
乗せた頭から振動が伝わる。ロキシウスが楽しげに笑っているのがわかる。
転生からの出オチで事件を解決したわけだけど、彼の笑顔を引き出せているのなら隣にいるのが私でも許されるよね?
私はパッと頭を上げて、ロキシウスと向き合った。
「その案、乗ります!」
笑顔でそう答えれば、屈託なく笑う彼の顔が、今日もまた恋愛小説の挿絵のように素敵だった。
―END―
この一年でバシッド商会に国の捜査が入り、そこで例の薬は見つかった。
その他にも色々やらかしていたらしい。結果、バシッド商会は商会そのものが無くなった。
これについては原作と違う。原作では商会長の交代という結末だった。原作よりもかなり早い時期に捜査されたせいで、隠蔽工作をする時間がなかったのかもしれない。どれだけの悪事に手を染めていたのやら。
ガルシア・バシッドについては過酷な環境での無期懲役となった。流刑が決まったときには自ら一日も早くそこへ行くことを希望したというから、どんな尋問に遭っていたのか考えるだけで震える。ロキシウスの闇落ちは回避できたのではなかったの?
まあガルシアを恨んでいそうな人は彼の他にもいそうなので、ロキシウスのせいではないかもしれない。……そう思いたい。
ちなみにガルシアの流刑先は、断崖絶壁の孤島だという。それなら私もヒロインも一生出会うことはないだろう。
「ああ、そうだ。マローネ、例の少女だけど地元の男性と結婚するらしい」
「えっ」
丁度ヒロインのことが頭をかすめたところに彼女の現況を聞かされ、私は並んでソファに座るロキシウスを見上げた。
彼は彼で「結婚」の単語から連想したらしい。私とロキシウスは今、カイデン侯爵家にて結婚式で着る衣装の打ち合わせをしていた。
「学園に編入してこなかったと思ったら、そんなことに?」
「バシッド商会が無くなったことで、彼女の家の家業が好調という話だ。相手の男性は、昔から親交のある家の次男と聞いた」
「ああ……なるほど」
「昔から親交のある家の次男」という情報に、すぐにとある人物が思い浮かぶ。原作ではサブヒーローの立ち位置だったキャラだ。彼ならヒロインを幸せにしてくれるだろう。
知らないうちに気がかりになっていたのか、ホッとした自分に気づく。そしてそれがわかってて調べただろうロキシウスが格好良くて、私は彼の肩に頭を凭せかけた。
「時期的に、俺たちの新婚旅行中に偶然結婚式に居合わせたから参列するというのはどうだろう?」
乗せた頭から振動が伝わる。ロキシウスが楽しげに笑っているのがわかる。
転生からの出オチで事件を解決したわけだけど、彼の笑顔を引き出せているのなら隣にいるのが私でも許されるよね?
私はパッと頭を上げて、ロキシウスと向き合った。
「その案、乗ります!」
笑顔でそう答えれば、屈託なく笑う彼の顔が、今日もまた恋愛小説の挿絵のように素敵だった。
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