仮婚クローバー〜副社長は初恋の秘書にご執心〜
プロローグ
恋──ずっと自分の名前が嫌いだった。
学生の頃は恋愛体質の私にピッタリの名前を付けたもんだと死んだ両親に納得したこともあったけど今は違う。
こんな思いをするくらいならもう恋なんてしたくもない。
誰かを恋しいと思うことも誰かに恋したいと願うことも、もう恋と呼ばれるすべての感情をなげすてて海に沈めてやりたいくらいだった。
それなのに、あの日の夜、あなたに魔法をかけられてからもう動くことがないと思っていた恋時計の針は動き出す。
あなただけを見つめて
あなただけに恋して
あなただけに恋焦がれる
──『四つ葉の王子様』に永遠に恋するお姫様に私は姿を変えていた。
< 1 / 56 >