仮婚クローバー〜副社長は初恋の秘書にご執心〜
元カレとの再会
「わぁ……すごい」
「三日後がグランドオープンだ」
私はタクシーに乗って到着した、ホテルのエントラスを潜り抜けた瞬間、感嘆の声を上げた。天井にはダイヤモンドがあしらわれキラキラと輝くシャンデリアに、目の前には絵本に出てくるお城のような螺旋階段、更には床は全て大理石で金と銀の細かい粒が埋め込まれていて、いたるところに瑞々しい薔薇が飾られいい香りが漂っている。
豪華絢爛な内装に魅入っている私に修哉が小さな声で耳打ちする。
「気に入ったか? ここは結婚式場も併設してあるんだ。気が早いが、もし恋さえ良ければ大安の日を押さえてもいいぞ」
「え……っ、ちょっと……」
「はは、気が早かったな。大丈夫。恋の気持ちが固まるまでは何事も急かしたりしないよ。ただ俺の気持ちだけは知っていて欲しい」
「う、うん……」
「まんざらでもなさそうだ」
「しゅ、修哉……っ」
修哉は私に向かって大きな目をふっと細めてから、そのまま大宴会場の扉を開けた。すでに三百人ほどの来賓が飲み物を片手に談笑をしている。
「順番に挨拶をしていく。有川さんは僕が挨拶をしたあと、軽く挨拶してくれたらそれでいいから」
「あ……はい、わかりました」
(気を引きめなきゃ)
会場に入った途端、一人称『僕』、私のことは『有川さん』呼びをする修哉の凛々しい副社長モードに私の心臓がどきんと跳ねた。
「三日後がグランドオープンだ」
私はタクシーに乗って到着した、ホテルのエントラスを潜り抜けた瞬間、感嘆の声を上げた。天井にはダイヤモンドがあしらわれキラキラと輝くシャンデリアに、目の前には絵本に出てくるお城のような螺旋階段、更には床は全て大理石で金と銀の細かい粒が埋め込まれていて、いたるところに瑞々しい薔薇が飾られいい香りが漂っている。
豪華絢爛な内装に魅入っている私に修哉が小さな声で耳打ちする。
「気に入ったか? ここは結婚式場も併設してあるんだ。気が早いが、もし恋さえ良ければ大安の日を押さえてもいいぞ」
「え……っ、ちょっと……」
「はは、気が早かったな。大丈夫。恋の気持ちが固まるまでは何事も急かしたりしないよ。ただ俺の気持ちだけは知っていて欲しい」
「う、うん……」
「まんざらでもなさそうだ」
「しゅ、修哉……っ」
修哉は私に向かって大きな目をふっと細めてから、そのまま大宴会場の扉を開けた。すでに三百人ほどの来賓が飲み物を片手に談笑をしている。
「順番に挨拶をしていく。有川さんは僕が挨拶をしたあと、軽く挨拶してくれたらそれでいいから」
「あ……はい、わかりました」
(気を引きめなきゃ)
会場に入った途端、一人称『僕』、私のことは『有川さん』呼びをする修哉の凛々しい副社長モードに私の心臓がどきんと跳ねた。