騙されて全てを奪われかけたけれど、思いのほか過保護な弁護士と敏腕CEO の力で解決 しそうです? ~強面CEO は甘い物と可愛いものがお好き~
「──にしても身に覚えのない婚約届のサインに、土地の名義変更、美人局がそもそも恐喝罪、強盗罪、脅迫罪、詐欺罪、強要罪だしな。その上、私文書偽造罪……。トリプル役満いや、フルコースか。今回はなんともすこぶる頭の悪い奴に引っかかったな。そもそもその麗奈という女と結婚しているのなら、彩葉と結婚は重婚になるだろうし、色々と矛盾する。その麗奈という娘も騙されている可能性はないのか?」
「麗奈も?」
「あるいは美人局の局面までは共犯だったが、彩葉の遺産相続関係を麗奈から知ったのか、結婚して自分名義にするほうが慰謝料よりも多く取れると欲を出したのかもな。どっちにしても馬鹿なことだ」
シュボッと、煙草に火を付けながら一服する。隣の席に座っていたリュカさんは、自分のことのように憤慨してくれた。そこまで感情移入してくれるとは思っていなかったので、なんとも嬉しいやら、自分の不手際を知られて恥ずかしいやら複雑な気持ちだった。
「事務的なことは神堂に任せて、今後元彼と友人が彩葉センセーに近づくかもしれないのなら、私が傍にいて守りたい」
「え!?」
「へえ。いいんじゃないか。男除けにも使えるだろうし。私も仕事でいつでも守ってはやれないからな。ああ、報復なら任せろ、余罪もたっぷりありそうだからな。フフフッ……」
悪魔のようなとびきりの笑顔だったので、深く突っ込まないほうが良いのかも入れない。そういえば何かと面倒事に巻き込まれたけど、気付くと先生が色々片付けてくれていた気がする。そんな先生の手を煩わせないように、警戒と自衛をしてきたのに……結局、今回のことでも頼るなんて……もういい大人なのに。
「彩葉センセー、貴女としては私が傍にいるのは……迷惑かな?」
「そんな。でもリュカさんは、事務所での仕事があるでしょう」
「ん? コイツは、事務所のスタッフじゃないぞ。たまたま話があってここに来た時に、お嬢の話が出たからすっ飛んでいっただけだ」
「ええ!?」
思わず声を上げてしまい、それを見て神堂先生は頭を掻きつつ、リュカさんに視線を向ける。先生の鋭い目つきに対して、リュカさんは笑顔のままだ。
「お前、何も話してないのか?」
「ここに来たら話すつもりだったんだよ。彩葉センセー、私と神堂は──親戚、身内なんだ」
「甥だ。お前はどうしてこう……言い回しがまどろっこしいのだ?」
「そうかな? 日本語は難しい……」
「あの……リュカさんの仕事は、大丈夫なのですか?」
リュカさんは目を細めて「ええ」と即答。
無理をしているような感じはないが、良いのだろうか。神堂先生に視線を向けるが「いいんじゃないか」と投げやり。
「仕事は半年ぐらい余裕があるし……それに、これなら合法的に彩葉センセーの仕事が傍で見られる」
「そっちが本音ですか」
「そっちが本音だな」
妙なことになったけれど、心強い味方が増えたことでやっと自分の体から力が抜けた。今まで気を張っていたのだと、遅まきながら気付く。
こういう時、力になってくれる人がいるだけで救われるわ。
「麗奈も?」
「あるいは美人局の局面までは共犯だったが、彩葉の遺産相続関係を麗奈から知ったのか、結婚して自分名義にするほうが慰謝料よりも多く取れると欲を出したのかもな。どっちにしても馬鹿なことだ」
シュボッと、煙草に火を付けながら一服する。隣の席に座っていたリュカさんは、自分のことのように憤慨してくれた。そこまで感情移入してくれるとは思っていなかったので、なんとも嬉しいやら、自分の不手際を知られて恥ずかしいやら複雑な気持ちだった。
「事務的なことは神堂に任せて、今後元彼と友人が彩葉センセーに近づくかもしれないのなら、私が傍にいて守りたい」
「え!?」
「へえ。いいんじゃないか。男除けにも使えるだろうし。私も仕事でいつでも守ってはやれないからな。ああ、報復なら任せろ、余罪もたっぷりありそうだからな。フフフッ……」
悪魔のようなとびきりの笑顔だったので、深く突っ込まないほうが良いのかも入れない。そういえば何かと面倒事に巻き込まれたけど、気付くと先生が色々片付けてくれていた気がする。そんな先生の手を煩わせないように、警戒と自衛をしてきたのに……結局、今回のことでも頼るなんて……もういい大人なのに。
「彩葉センセー、貴女としては私が傍にいるのは……迷惑かな?」
「そんな。でもリュカさんは、事務所での仕事があるでしょう」
「ん? コイツは、事務所のスタッフじゃないぞ。たまたま話があってここに来た時に、お嬢の話が出たからすっ飛んでいっただけだ」
「ええ!?」
思わず声を上げてしまい、それを見て神堂先生は頭を掻きつつ、リュカさんに視線を向ける。先生の鋭い目つきに対して、リュカさんは笑顔のままだ。
「お前、何も話してないのか?」
「ここに来たら話すつもりだったんだよ。彩葉センセー、私と神堂は──親戚、身内なんだ」
「甥だ。お前はどうしてこう……言い回しがまどろっこしいのだ?」
「そうかな? 日本語は難しい……」
「あの……リュカさんの仕事は、大丈夫なのですか?」
リュカさんは目を細めて「ええ」と即答。
無理をしているような感じはないが、良いのだろうか。神堂先生に視線を向けるが「いいんじゃないか」と投げやり。
「仕事は半年ぐらい余裕があるし……それに、これなら合法的に彩葉センセーの仕事が傍で見られる」
「そっちが本音ですか」
「そっちが本音だな」
妙なことになったけれど、心強い味方が増えたことでやっと自分の体から力が抜けた。今まで気を張っていたのだと、遅まきながら気付く。
こういう時、力になってくれる人がいるだけで救われるわ。