Lecker

人里離れた森の中、古びた大きな屋敷にいい匂いが漂う。キッチンにて金髪碧眼の少年がスープの入った鍋をかき回していた。

「味見味見！」

小皿にスープを少し入れ、少年ーーーシュリュッセルは味見をする。今日作ったのは豚肉とカブのコンソメスープだ。

「うん、おいしい！」

コンソメの中にカブの甘さがほんのり隠れている。我ながらうまくできたとシュリュッセルは笑みを浮かべた。この広い屋敷で彼はただ一人のコックである。

朝ご飯が出来上がった頃、「おいしいそうな匂い！」と言いながら二人の男女がキッチンに入って来る。女性はフリルたっぷりのメイド服を着ており、ウェーブがかった銀色の長い髪をしている。男性は特徴的な大きな耳を持っており、緑の髪はどこか淡々としている。

「ゾンネ！ヴァイス！おはよう！」

シュリュッセルは二人に笑いかける。二人は「シュー、おはよう」とシュリュッセルに言った後、出来上がった今日の朝ご飯に目を向けた。

「うわ〜、どれもおいしそう！」

メイド服を着たゾンネが目を輝かせ、緑の髪のヴァイスも首を縦に振った。