Lecker
「……久しぶりだな、モーント」

シュリュッセルを守るかのように目の前にファーデンが立っていた。彼はモーントとラントカルテを睨み付ける。

「私の屋敷のシェフをどうするつもりだったんだ?」

「シェフ?この人間が?」

「彼の作る料理は魔界一と言っても過言じゃない。人間界に戻すなんてダイヤを捨てるようなものだね」

「だから何だ?法律を破った犯罪者の戯言か。お前の首を今ここで刎ねてやろうか」

ファーデンとモーントの間で火花が飛び散る。それをシュリュッセルは黙って見ていることしかできない。間に入ることなどできなかった。口を開けば自分の首が飛んでしまいそうな気がしたためである。

「そんなにその人間の料理の腕がいいと言うのならーーー」

苛立った様子のモーントが息を大きく吐き、ラントカルテとシュリュッセルを交互に見る。

「この二人に料理を作らせろ。そしてどちらの料理がおいしいか勝負するんだ。その人間が負けたら人間界に返す。勝ったら魔界に残ることを許可する。どうだ?」
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