Lecker
迷うことなくシュリュッセルは言った。ラントカルテの料理の腕がどれほどのものなのか、シュリュッセルはわからない。しかし彼は料理を魔界に来てから毎日作っていた。その腕に自信を持っている。

「勝負の内容はテーマに合わせた料理を作ってそれを一般魔族に食べてもらい評価してもらうんだっけ？」

ゾンネの問いにシュリュッセルは頷く。一般魔族を審査員に選んだのは不正が行われないようにするためだとモーントが話していた。

「それで、そのテーマって何なんだよ？」

ヴァイスの問いにシュリュッセルはモーントの言葉を思い出す。重々しい空気の中、彼は言った。

『テーマはホームパーティー。お客様をもてなす料理だ！』

シュリュッセルは一人一人の顔を見つめる。そして「必ず勝つ」と心に誓い、作る料理を考えるために厨房へと向かった。



数週間後、一般魔族が暮らす街の広場に大きな二つのテーブルが置かれた。その二つのテーブルにはおいしそうな料理があり、二つのテーブルから少し離れたところには「あなたはどちらのテーブルの料理が好き？」と書かれた紙と投票箱が置かれている。

「何だこれ？」

「おいしそう……！」

人々はいつもと違う光景に戸惑っている様子だった。しかしおいしいそうな料理に釣られ、テーブルに近付く。
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