Lecker
「この前作ってくれた鮭としめじのクリームシチューを夕飯に食べたいなと思って」

「鮭としめじのクリームシチューですね。わかりました！あとでしめじを取ってきます！」

「ありがとう。シューの作るご飯はとてもおいしいから楽しみなんだ」

「そう言っていただけると、作り甲斐があります！」

ファーデンはシュリュッセルの頭を優しく撫で、厨房を出て行く。これから自室に篭って魔王の職務に取り掛からなくてはならない。

（十時になったらコーヒーとレモンケーキでも持って行ってあげよう）

手を差し伸べ、居場所を与えてくれたファーデンに対しシュリュッセルの胸の中は常に感謝の気持ちで溢れている。彼が声をかけてくれなければ、シュリュッセルは今頃命がなかったかもしれない。屋敷と森にしか行けないものの、彼はこの生活に不満は何もない。

「ゾンネ！ヴァイス！きのこを取りに行ってくるね」

掃除をしている二人にシュリュッセルが声をかけると、「行ってらっしゃい」と笑顔で手を振ってくれる。手を振り返し、シュリュッセルは屋敷を出た。
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