無愛想な末っ子御曹司の溢れる愛
「ミナトくん?」
隣に腰掛けていた透子がぽつりと呟いた。
「透子さん?」
「そうだったのね……」
「どうしたんですか?」
透子が春音の目を見据えた。
「春音ちゃん、あなたを助けた警察官、潤人の弟よ」
『そうなんだ、弟かぁ……… え?』
「え⁉︎」
確か、弟は鷹屋商事本社で常務の役職に就いているはず。
「弟さんは常務でいらっしゃいますよね?」
「彼は次男」
「潤人は長男。そして、警察官の末っ子、湊人」
『あの穏やかで紳士な潤人の弟が、人をブス呼ばわりする冷酷警察官? 全く信じられない』
「うふふっ、信じられないって顔してる。彼らは正真正銘血を分けた兄弟よ」
「信じられません。血を分けた兄弟なんて益々信じられません」
「そう、よね……」
透子はフッと憂いだ表情を見せた。
この表情の裏にはきっと何かが隠されている。春音の脳裏には、穏やかな表情の潤人と、無表情で冷ややかな目をした湊人の顔が交互に浮かんでいた。
「大変だわ!」
突然透子が勢いよく立ち上がった。
「この映像、○○提供ってテロップが出てたから、誰かがSNSにアップしていたものを流したんだと思うの。ということは、加工されずに流れている可能性が高いってこと。春音ちゃんと湊人くんの顔が晒されているってことよ! あぁぁぁ、どうしたらいいの? あっ、そうだわ!」
透子は慌ててテーブルの上のスマホを手に取り、寝室に駆け込み、潤人に電話をかけた。
「もしもし」
「潤人? 私よ。さっきニュースで今日の事やってたんだけど」
「動画のことだろう?」
「ええ、そうよ」
「まさかと思ってすぐ法務部に動いてもらってんだが間に合わなかった。だが、配信元の特定と、動画削除は正式に依頼している」
「それならひとまず安心だわ。ありがとう」
「当然のことをしたまでだ。森川さんの具合はどうだ?」
「今のところは落ち着いてるわ」
「そうか……何かあったら連絡くれ」
「ええ」
「今日は送ってくれてありがとう」
「透子」
「ん?」
「君もゆっくり休めよ」
「ええ。潤人、お疲れさま」
「透子もな。じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
通話を終え、部屋から出て来た透子は安堵した表情を春音に向けた。
「さすが鷹屋商事だわ。動画の配信元の特定と削除、既に法務部が動いているそうよ」
鷹屋商事の仕事の速さはさすがという他ない。
隣に腰掛けていた透子がぽつりと呟いた。
「透子さん?」
「そうだったのね……」
「どうしたんですか?」
透子が春音の目を見据えた。
「春音ちゃん、あなたを助けた警察官、潤人の弟よ」
『そうなんだ、弟かぁ……… え?』
「え⁉︎」
確か、弟は鷹屋商事本社で常務の役職に就いているはず。
「弟さんは常務でいらっしゃいますよね?」
「彼は次男」
「潤人は長男。そして、警察官の末っ子、湊人」
『あの穏やかで紳士な潤人の弟が、人をブス呼ばわりする冷酷警察官? 全く信じられない』
「うふふっ、信じられないって顔してる。彼らは正真正銘血を分けた兄弟よ」
「信じられません。血を分けた兄弟なんて益々信じられません」
「そう、よね……」
透子はフッと憂いだ表情を見せた。
この表情の裏にはきっと何かが隠されている。春音の脳裏には、穏やかな表情の潤人と、無表情で冷ややかな目をした湊人の顔が交互に浮かんでいた。
「大変だわ!」
突然透子が勢いよく立ち上がった。
「この映像、○○提供ってテロップが出てたから、誰かがSNSにアップしていたものを流したんだと思うの。ということは、加工されずに流れている可能性が高いってこと。春音ちゃんと湊人くんの顔が晒されているってことよ! あぁぁぁ、どうしたらいいの? あっ、そうだわ!」
透子は慌ててテーブルの上のスマホを手に取り、寝室に駆け込み、潤人に電話をかけた。
「もしもし」
「潤人? 私よ。さっきニュースで今日の事やってたんだけど」
「動画のことだろう?」
「ええ、そうよ」
「まさかと思ってすぐ法務部に動いてもらってんだが間に合わなかった。だが、配信元の特定と、動画削除は正式に依頼している」
「それならひとまず安心だわ。ありがとう」
「当然のことをしたまでだ。森川さんの具合はどうだ?」
「今のところは落ち着いてるわ」
「そうか……何かあったら連絡くれ」
「ええ」
「今日は送ってくれてありがとう」
「透子」
「ん?」
「君もゆっくり休めよ」
「ええ。潤人、お疲れさま」
「透子もな。じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
通話を終え、部屋から出て来た透子は安堵した表情を春音に向けた。
「さすが鷹屋商事だわ。動画の配信元の特定と削除、既に法務部が動いているそうよ」
鷹屋商事の仕事の速さはさすがという他ない。