無愛想な末っ子御曹司の溢れる愛
食事を終えレストランを出ると、潤人と透子は、春音を湊人のマンションにタクシーで送り届けた。
タクシーを降り、マンション前で立ち止まると、

「今日は美味しいお料理に、素敵な時間をありがとうございました。しかも送っていただいて」

春音が恐縮する。

「なかなか四人で揃う機会がないから、俺は嬉しかったよ。まぁ、湊人は抜けてしまったけど」

「それは仕方ないわよね。それじゃあ春音ちゃん、戸締りしっかりね。ほら、早く中に入りなさい」

「はい、本当にありがとうございました」

春音は一礼し、トコトコとエントランスへ向かった。

その姿を見送りながら、

「透子の慧眼はさすがだな」

潤人が透子の肩にそっと手を添えた。

「直感よ。二人が笑い合ってる場面が浮かんだの。こうなることを望んでいたのに、なんだか寂しくなっちゃった。ううん、違うわ嫉妬ね」

「おいおい、嫉妬するなら俺のことで嫉妬してくれよ」

「嫉妬するかしら?私」

「頼むから嫉妬してくれ」 

「考えておくわ」

「なんだよそれ!」

「うふふふっ。さぁ、帰りましょう」

「そうだな、帰ろう」

『幸せになるのよ』

透子はマンションを見上げ、微笑んだ。
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