無愛想な末っ子御曹司の溢れる愛
「みっくん? どうしたの?」

「……でだよ」

「みっくん?」

「なんでだよっ! 俺だけを……俺だけを見ろよ」

「……」

「俺は春音が好きだ。春音を抱きたいって思ってる。嫌なら突き飛ばせ」

湊人は強引に春音の唇を奪った。

春音は一体何が起こったのか理解できず、硬直してしまっていた。

「突き飛ばせよ……」

組み敷いた春音を見下ろす渇望に満ちた眼差しは、時折切なさを宿す。

「兄貴のことが好きなのか?」

消え入りそうな声が春音の心を大きく揺さぶった。

確かに、恋をしていた。でも今は、大好きな透子の婚約者で、尊敬する鷹屋商事の副社長。それ以外の感情はない。
面と向かうと緊張してドキドキするが、それは恋からくるものではない。

何故なら、今目の前にいる湊人に心臓が飛び出るくらいドキドキしているから。
胸がいっぱいで言葉が出ない。

何も答えない春音を前に、端正な顔は悲愴さを帯びていく。

「なんか言えよ」

ぽつりと溢した唇は、ゆっくりと春音の唇に落とされた。
優しく触れるようなキスに、春音の身体から強張りが解けていく。

「嫌、じゃないのか?」

不安げな面持ちで見つめる彼がとても尊い。湊人に対してまさかこんな感情を抱くなんて思ってもみなかった。

そう、出会ったあの頃は……

「嫌、じゃない」 

そう言って微笑むと、少しだけ骨ばった大きな右手が、春音の頬を優しく包んだ。

「春音……」

低めの声音と艶のある唇が春音の情欲を刺激する。
湊人の首に腕を回し、どちらからともなく再度唇を重ねた。触れるようなキスから、啄むようなキス。お互いの気持ちを探るように、確かめるように、段々と深く求め合い絡め合う。

春音の衣服を丁寧に脱がしていく繊細な手つきが愛しい。
熱を帯びた裸体が湊人目に晒された。

「奇麗だ」

「本当に?」

「ああ」

穏やかな表情で、春音の髪を優しく撫でる仕草に、じわりと熱いものが込み上げる。

私は夢見ているのだろうか……

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