無愛想な末っ子御曹司の溢れる愛
「夢、じゃないよね?」

「ああ、現実だ」

低く甘い声音が耳に触れると、気恥ずかしくなり、両手で顔を覆った。

『私ったら、なんて格好!』

「顔、見せて」

春音は顔を隠したまま左右に首を振る。

『可愛いな』

湊人は心の中で呟き、目尻を下げた。

「春音、キスができない」

「わ、わたし、ファーストキスだった」

「じゃあ、俺が初めての男?」

顔を隠したまま頷いた。

「怖いか?」

顔を隠した手がゆっくりと解かれる。

「初めてって痛いんでしょう?」

「俺は女じゃないからわからないけど、努力する。痛い時は我慢せずに痛いって言って」

「みっくん」

「ん?」

「眠れなかったのはね、みっくんに会いたくて、みっくんのこと考えてたらドキドキしちゃって、目が冴えちゃったの」

『なんだよ、その可愛すぎる理由は!』

はにかむ笑顔を前に、湊人の理性は遥か彼方に吹っ飛んだ。
春音を抱き寄せ半ば強引に唇を奪う。

「んんんんっ」

唇を離し、湊人は着ていた衣服を脱ぎ捨てた。鍛え上げられた肉体が露わになる。

これまで必死に抑えてきた欲情が、牙を向いた瞬間だった。
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