無愛想な末っ子御曹司の溢れる愛
「なぁ、春音」
「なぁに?」
「もっと広いところに引っ越そうと思ってる。だから、春音もアパート解約して、俺と一緒に住まないか?」
「みっくん、この部屋、単身者専用?」
「いいや、違うよ」
「じゃあ、私、ここに引っ越してきてもいい?」
「この部屋じゃ狭いだろう? 春音の荷物置けないんじゃないか?」
「大丈夫よ。私の荷物、驚くぐらい少ないから。それに、今住んでるとこ、家具家電付きなの」
「そうなのか?」
「前勤めてた会社が倒産して、突然寮を追い出されちゃったから、家具を揃える時間もなくて、今の部屋が空いてたから家具も付いてるしって即決したの」
「そうだったのか」
「それに、みっくんは転勤があるでしょう? 引っ越しはその時でいいんじゃない?」
「転勤したらついてきてくれるか?」
「うん、ついていきたい」
「今すぐにとは言わない。ゆっくりでいい、俺との結婚、考えててくれるか?」
春音は湊人の目を見つめ、ゆっくりと頷いた。