無愛想な末っ子御曹司の溢れる愛
湊人との生活は穏やかな時間を刻んでいる。

「行ってきまぁ〜す」

「ちょっと待て! 春音、大事なこと忘れてるぞ!」

「ん?」

「ここ」

湊人が自分の唇を指差した。

「なんだっけ?」

とぼけて見せる春音の腰をグイッと引き寄せた。

「行ってきますの前、どうするんだった? とぼけても無駄だからな」

「チュ、チューするの」

春音は湊人の唇にチュッと軽く口付けた。

「よく出来ました。よし、行こう」

「え?」

「送ってく」

「今日も⁉︎ 私、もう平気だよ。怖くないよ」

湊人は、出来るだけ春音を独りにしないようにしている。時間の都合がつく時は、職場まで必ず送り迎えをする。
あまりの過保護っぷりに、潤人も透子も半ば呆れ返っている状態だ。

『でもやめてやらない』

「ほら、行くぞ」

春音の手を取り、上機嫌で部屋を出た。
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