無愛想な末っ子御曹司の溢れる愛
欅の木に装飾されたイルミネーションが、けやき通りを美しく輝かせている。
春音と迎える初めてのクリスマスシーズンだ。

湊人にはサプライズ計画がある。そのためには潤人の協力が必要だった。スマホの通話ボタンをタップする。

「もしもし兄貴? 頼みがあるんだけど」

「お前から頼みなんて嬉しいねぇ。で、何だ?」

「兄貴の別荘貸して。12月13日と14日」

「ふたご座流星群か?」

「そう。よくわかったね」

「星好きのお前のことだ。そのくらいは想像がつく。いいぞ、鍵取りに来い」

「ありがとう」

12月13日の深夜から14日の未明にかけて、三大流星群の一つ、ふたご座流星群の活動が極大を迎える。
大きな窓付きの屋根裏部屋がある潤人の別荘は、観測するには絶好の場所だ。

いつも独りで観測していた湊人には、寝袋があれば十分だったが、今回は春音とふたり。
春音を極寒に晒すわけにはいかない。寒さを凌ぎながら、寝転がって観測できる潤人の別荘を借りることにしたのだ。

ハウスキーパーが定期的に掃除をしているため、いつでも使えるようになっている。

この日も食材を持ってくるだけで十分だった。
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